3)LCHにおいては、腫瘍壊死因子、インターロイキン11、白血病抑制因子がLCH細胞により産生される
Tumor
necrosis factor, interleukin 11, and leukemia inhibitory
factor produced by Langerhans cells in Langerhans cell
histiocytosis.
Andersson By U et al. J Pediatr Hematol Oncol. 2004
Nov;26(11):706-11. |
【目的】LCHの病因や病態生理は未だ明らかではない。小児の多臓器病変を持つLCH患者の3年生存率はいまだ80%前後で、肝臓や脾臓・造血器・肺といった危険臓器に病変がある小児LCH患者の予後はさらに悪い。LCHの病因を解明し治療法を確立するために、我々は、LCH病変の生検検体において腫瘍壊死因子(TNF)、インターロイキン11(IL-11)、白血病抑制因子(LIF)の細胞内の産生を調べた。【方法】9例の小児LCH患者から吸引針生検によって病変部位の細胞を採取した。サイトカインが結合している細胞とサイトカイン産生細胞を区別することが可能な免疫蛍光染色法を用いて実験を行った。【結果】すべての患者においてTNFを発現する組織球を認めた。9例中7例の患者においてIL-11を、6例においてLIFを発現する組織球を認めた。TNFの発現が最も高い組織球を認めた2例の患者、IL-11・LIFの発現が最も高い組織球を認めた3例の患者は、いずれも危険臓器に病変があった。2重染色によってTNF・IL-11・LIFを発現している組織球は同時にCD1aも発現していることが明らかとなった。【結論】これらの結果より、LCHはサイトカイン、特にTNF・IL-11・LIFが深く関わる病態と考えられる。これら3つのサイトカインはいずれも破骨細胞を誘導する働きがあり、LCHにおける骨融解病変の病因となっていることが示唆される。さらに、LCHにおける血小板増多は、IL-11やLIFの作用によるかもしれない。 |
|
4)LCHにおけるEBウイルスの発現
Expression
of Epstein-Barr virus in Langerhans' cell histiocytosis.
Shimakage M et al. Hum Pathol. 2004 Jul;35(7):862-8.
|
LCHは病因不明の組織球増殖疾患である。我々は先に、EBウイルスがマクロファージに感染し増殖することを報告した。今回、EBウイルスがLCHの病因に関わるかを検討した。EBウイルスの発現を検討するため、17例の患者のパラフィン切片において、EBウイルスBamHIW・EBNA2・EBER1の配列をmRNA組織中ハイブリダイゼーション法により、EBNA2・LMP1・BZLF1を間接免疫蛍光染色法により調べた。EBウイルスDNAを検出するため、PCR-サザンブロト法を用いた。全例で組織中ハイブリダイゼーション法によるBamHIW
mRNAは陽性であった。また、EBNA2 mRNAは13例で、EBER1 mRNAは14例で陽性であった。さらに、モノクローナル抗体による免疫蛍光染色は、ほとんど全例でEBNA2とBZLF1に対し陽性で、15例でLMP1に対し陽性であった。調べた9例全例でPCR-サザンブロット法によるEBER1配列は陽性であった。組織ハイブリダイゼーション法と免疫蛍光法により、LCHの病変部位においてEBウイルスが発現していることが明らかとなった。さらに、EBウイルスDNAはPCR-サザンブロット法によっても検出された。BZLF1が陽性であったことより、LCH病変部位においてEBウイルスが複製されていると考えられる。 |
|